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あすみの会設立10年を迎えて

副理事長 河島洋征

 このホームページをご覧になる皆さん、こんにちは。私は重症心身障害のある一人娘を抱える父親です。入所施設で30年以上を家族と離れて生活する娘はかけがえのない存在ですが、娘の成年後見人になって8年が過ぎました。73歳を超えた今、後期高齢期が近い自分自身の老い先のことを想像すると、将来どのような形で、娘の平安な生活が維持全うさせて上げられるかに頭を悩ませているところです。勿論、今入所している施設を終の住処にと考えておりますが、その中で娘の健康状態がどう変化していくのか、また第三者とはいえ、近い将来託することになるかもしれない後見問題等、心配ごとは絶えることはありません。

 特に、我が国の保健福祉制度が揺れ動く中、また国連の障害者権利条約をこの2月に批准した我が国においても、これからは世界標準に向けた具体的な取り組みが始まります。とりわけ人権は、障害のあるなしにかかわらず、個人を視点にした大切なものであり、皆が住みよい、参加しやすい共生社会を創り上げていくには、どうあるべきかこれからの課題のように思っています。例えば、教育や労働の分野、また交通機関や建物の利用などあらゆる面で差別されないことです。

 特定非営利活動法人あすみの会における成年後見に関する普及啓発、後見人の発掘等の活動支援も、よりよい共生社会を創り上げていくための一つの社会資源とみなしていますが、お蔭様で、皆様の温かい励ましと物資両面にわたる長年に亘るご支援・ご協力により、平成17年6月の設立以来、10年にわたる事業展開が継続できましたことに、改めて深く感謝申しあげます。

 私自身も、この設立、その後の活動に関わってきたひとりですが、この間の後見に関しては、常に娘の事を座右の実例としながら学習し、その必要性をあらためて自分の心の中に膨らませてきました。そして、施設との契約制度が始まる直前に成年後見人となったわけですが、実際のところ娘を一人の存在として視る目、すなわち親としてではなく、第三者的な客観的に対処する姿勢が育まれてきたように思い、良かったのではと思っています。

 この10年間を見ても、成年後見という言葉が、良い意味であれ、悪い意味であれ、メディアを通して、世の中にかなり知られるようにはなりましたが、その中身や役割について、どこまで国民の皆様にご理解願えているのか、また私達の普及活動も十分に皆様の間に伝わり浸透してきたのか不安を覚えているのも事実です。一般には、後見人は責任が重くて大変だとか、また家庭裁判所への報告義務が大変だとかという話も聞かれます。

 何故そう思うのか、考えてみると「後見」という言葉の重さそのものにあるのでしょうか。常識的には、後見人とは、自己管理や物事の処理の判断がきちんとできない障害のある方の代理人として、本人の意思確認を配慮しながら、公的に財産管理や身上監護のお手伝いをすることが認められている人といってよいでしょう。それだけに、ある意味その行いに対して、社会からの批判を受けるという立場になるという意識をもつことが必要かもしれないし、それが責任であり義務でもあります。

 従って、親御さんであっても兄弟姉妹等家族であっても、後見人は代理人としての公的な社会資格ですから、家庭裁判所の裁判官の審判を受けて認められなければならない形となるので、一般に敬遠されるのかもしれません。特に、私達が取り組んでいる市民型後見人の発掘では、支援対応の軽重を問わず、様々な障害のある方がおられるので、後見人になりたいという意識のみでは、その対処には負担が生ずることがあり、有能な若い人材を見出す事はそう簡単なことではないと思っています。

 そのためにも、後見人を目指す人たちが後見人になりやすい環境というか、あすみの会自体が、後見制度の普及活動のみならず、後見人が後見活動に専念しやすい環境になるよう、支援していくことができる認定法人後見として、構成する人材を含め、その組織体をしっかりした形態にしていかなければと考えています。今後とも応援よろしくお願いするとともに、またこの問題に関心のある方はお問い合わせください。